【技術・道具の基礎】ロープの太さと器具の相性

ロープには様々な太さがあり、メーカーによっては同じ商品名で異径サイズのロープをラインナップしているケースもあります。
また、下降器(ディッセンダー)や登高器(アッセンダー)、モバイルフォールアレスター(墜落制止装置)などの器具には、それぞれ「対応ロープ径」が設定されており、対応ロープ径を超過した太さ、あるいは超過した細さのロープの使用は推奨されません。
■器具の特性
下降器、登高器、モバイルフォールアレスターといった器具は、「ロープを器具内で挟み込んでロープが流れるのをストップする」構造となっています。
そのため、使用するロープの太さが太すぎたり細すぎたりすると、ロープの流れが悪くなったり、ロープの流れを止める力が弱くなってしまうなどの問題が生じます。
■ロープの特性
高所作業で用いるセミスタティックロープやクライミングなどで用いるダイナミックロープは、荷重が掛かった際、ある程度ロープが伸びます(※)。
ロープが伸びると、接続器具を含む荷重が掛かっている側は、荷重が掛かっていない側と比較してロープ径がわずかに細くなります。
※スペック表では「伸び率」で示されており、50kgの静荷重が掛かった状態での伸び率が2%の長さ100mロープを、末端から50kgの力で引っ張った場合、ロープは約2m伸びます。
荷重が掛かっている側はロープが伸びて径が細くなっている

対応ロープ径"外"のロープと器具を接続した場合の挙動
■太いロープ (器具の対応範囲内を超過) を使用した場合
・器具によってはロープの接続がしにくくなる
・摩擦が発生しすぎて器具の動作がスムーズにならない
■細いロープ (器具の対応範囲内を下回る) を使用した場合
・下降器…摩擦不足でブレーキ開放時に滑り落ちやすくなる
・登高器…カムの食い込みが浅くなる。ロープが細すぎると最悪滑り落ちてしまう恐れがある
器具の対応範囲を超過する太いロープは円滑な作業に支障が出ますし、細いロープでは墜落のリスクが高まってしまいます。
対応ロープ径”内”のロープ
対応ロープ径"内"のロープであっても、細い径のロープと太い径のロープでは若干挙動が変化します。
細い径のロープは摩擦が少なくなるため、特に下降器と接続して下降する際に滑りやすくなります(レバーを操作した際に太いロープよりも下降速度が出やすくなってしまう)。
太い径のロープは持ち運び時の重量が増えてしまいますが摩擦を稼ぎやすくなりますので、初心者はまず太い系のロープを使用されることを推奨します。