【技術・製品情報】海外メーカーの正規品と非正規品

【技術・製品情報】海外メーカーの正規品と非正規品

 

日本国内で流通している海外メーカー製品は、以下の2種類に代別されます。

 

■国内正規品

メーカーの日本法人、または正規輸入代理店を介して市場に流通している製品。

 

■非正規品

メーカーの日本法人や国内正規輸入代理店を介せずに流通している製品。小売店や個人が、海外の小売店などから直接仕入れた並行輸入品です。
一部のネットショップで「海外正規代理店の正規直輸入品」などと謳われているものも並行輸入品です。

※「海外正規代理店の正規直輸入品」をより正しく言えば、「メーカーが製造した純正品だが国内非正規品」になります。
因みに、海外の正規代理店が、国内に法人もしくは正規代理店がある他の国の小売店に並行品を卸すことはほぼありません(特定の地域における独占的な販売権を与える契約がある)。「海外正規代理店」と謳われている場合、基本的にその仕入先は「海外の正規代理店から仕入れている海外の小売店」です。

 

 


 ― 国内正規品と非正規品の違い ―

 

■流通経路 

国内正規品は、①メーカー本国→②日本法人or輸入代理店→③日本の小売店→④エンドユーザーの順で市場に流通します。

非正規品は、①海外の販売店→②日本の小売店→③エンドユーザー、もしくは、①海外の販売店→②エンドユーザーの順で流通します。

 

■価格

国内の法人を挟む回数が少ない非正規品は、国内正規品と比較すると安く購入できます。一方、国内の法人を多く挟む正規品は割高となり、また価格を大きく下げることができません。

 

■アフターサービス

正規品について、初期不良やリコールが発生した場合、メーカーの日本法人がある場合はメーカーが、輸入代理店の場合はメーカーの代わりに販売責任者となりメーカーと連携して対応を行います。

しかしながら、非正規品はメーカーの日本法人や正規輸入代理店を通していない、つまりメーカーが認めていないルートで流通したものであるため、初期不良やリコールが発生した際、最悪の場合購入した店にも相談できずに処分するしかなくなることがあります。

※並行輸入品でも、メーカーの日本法人や国内正規輸入代理店がご厚意で初期不良やリコールの対応をされる場合があります。ただ、自己都合で非正規品を購入したエンドユーザーのために対応をするというのは、特に自社の売り上げに繋がっていない(むしろ売り上げを並行輸入店などに奪われている)国内正規輸入代理店の印象はあまりよくないのは事実です。

 

■国内規格への適合

高所作業用の個人装備では、国内の「墜落静止用器具(フルハーネス、ショックアブソーバー)」の規格と、「保護帽(ヘルメット)」の規格への適合が重視されます。

海外メーカー製品も、モデルによって墜落静止用器具(フルハーネス)」「墜落静止用器具(ショックアブソーバー)」「保護帽(ヘルメット)」の規格に適合していますが、それらはメーカーの日本法人、または国内正規輸入代理店によって、製品に規格適合を示すシールやタグなどが取り付けられます。

そのため、並行輸入品はメーカーの日本法人または国内正規輸入代理店を通していないことから、たとえ国内の規格に適合したモデルであっても規格適合を示すシールやタグが取り付けられておらず、規格適合品としては認められません。また、メーカーの日本法人や国内正規輸入代理店が並行輸入品にシールやタグを後付けすることもありません。

 

 


― 非正規品が流通するデメリット ―

 

国内正規品がある製品の非正規品が流通する一番のデメリット。それは、非正規品を購入される方が増えると、メーカーの日本法人や正規輸入代理店が事業から撤退してしまうリスクがある、ということに尽きます。

ユーザーが直接海外のネットショップから仕入れたり、国内の並行輸入店で非正規品を購入した場合、最終的にメーカー本国の利益にはなりますが、メーカーの日本法人や、資本上の繋がりがない正規輸入代理店には利益はいっさい入りません。

さらに、製品がリコールとなりメーカー本国の指示によりメーカーの日本法人や輸入代理店が国内に流通している製品を一元的にリコール対応するとなった場合、非正規品も対応をせざるを得ず、リコール対応にかかるコストを被ることになります。

国内正規品が売れず、安い非正規品ばかりが売れ続け、非正規品のリコール対応まで行わなければならない事態が続くと、事業が成り立たなくなってしまうため、最悪の場合、日本国内からの事業撤退もあり得ます。

リコール対応を行う事業者が国内にいなくなると、ユーザーは泣き寝入りするしかないだけでなく、そもそもリコールが発生したことさえ知らないまま製品を使い続けることになるリスクが生じます。

国内正規品は非正規品(並行輸入品)と比較すると割高になりますが、初期不良やリコール時のメーカー対応を確実に受けられる点や、国内から撤退せず事業を継続してもらうという意味においても、なるべく国内正規品をお選びいただければ幸いです。