【技術・道具の基礎】ワークポジショニングランヤード
U字吊りや1本吊り作業(ワークポジショニング作業)で使用されるワークポジショニングランヤード。
現在ヨーロッパの高所作業の現場で使用されているワークポジショニングランヤードは、ブレーキ部分をメカニカル(金属パーツ)で再現したデバイスが主流です。
本ページでは当店で取扱いのある欧米メーカー製のワークポジショニングランヤードについて解説します。
メカニカル式ワークポジショニングランヤードの大別
■ブレーキングデバイス
ランヤードの長さを調節する金属製のブレーキングデバイスは、大まかに以下の2種類があります。
【カム荷重式ロープクランプ】
「カンプ ロープアジャスター」「エーデルリッド オンビリックスアジャスト」などが代表的な製品です。
調整用デバイスを握り、ロープをロックしているカムの効きを緩めてランヤードの長さを調整します。
構造がシンプルで、少しの練習で誰でも直感的に操作が可能になります。
なお、微調整には馴れが必要です。
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【下降器型】
「カンプ ドゥルイドランヤード」などが代表的な製品です。
ハンドルレバーを操作してランヤードの長さを調整します。
金額は高価ですが、カム荷重式ロープクランプと比較してランヤードの微調整がしやすいのが特徴です。
また『EN12841/C(ロープアクセス用下降器)』の認証を取得している製品は、作業者がぶら下がる下降器としても使用できます。
※ロープアクセス技術になりますので、正しい使用の仕方のトレーニングを受けたうえでご利用ください。
なお、下降器型デバイスが付いた多くのワークポジショニングランヤードでは、パニック防止機能(誤ってレバーを引きすぎてしまった場合にロックが掛かる機能)は付いていません。
例えば「カンプ ドゥルイドランヤード」に取り付けられているデバイスは、パニック防止機構のない下降器「カンプ ドゥルイド プロ」をベースにしています。
これは、例えばパニック防止機構が付いていると、一気にランヤードを伸ばしたい時にレバーを思い切り引くとロックが掛かってランヤードが止まってしまい、却って使い勝手が悪くなるためです。
■ランヤード
【セミスタティックロープ】
ロープ高所作業(ロープアクセス)で使用される低伸長ロープ。
一般的なワークポジショニングランヤード全般に使用されています。
伸び率が低くまっすぐになりやすいため使いやすいです。
【スチールケーブル内蔵型】
対切断性に優れたスチールケーブルが内蔵されたランヤードです。
おもにチェーンソーを使用するツリーケアで利用されますが、ワークポジショニングの姿勢で金属カッターを使用するような仕事でも利用されます。
ケーブル内臓のため硬く重いのが特徴です。
U字吊りについて
基本的に支柱にランヤードを巻き付けて使用するため、折り返してなお適切なポジションが取れるだけのランヤードの長さが必要となります。
『①支柱の半円分の長さ(支柱と接触する部分の長さ)+②(支柱との距離x2)+③コネクター長+④余剰分」
上記を考慮して、最適な長さのランヤードを選びます。
長さごとの用途
落下の危険を伴う傾斜地での運用
屋根上など落下リスクがある場所での1本吊り作業は特に注意が必要です。
■固定支点を利用する場合
固定支点を利用する場合は、落下リスクを考慮し、支点の真下の限界位置をランヤードを伸ばせる最長距離とし、その伸ばした範囲で作業を行う必要があります。
下図のケースでは明るいグレーのエリアが作業可能な範囲です。
もし、赤い〇の位置まで作業者がランヤードを伸ばして移動し、万一足を滑らせてしまうと、支点の真下の位置にまで振り子のように戻され、ランヤードを余計に伸ばした分だけ屋根から落下してしまいます。
現在の支点で届かないエリアに行きたい場合には、その直上にあらためて支点を構築する必要があります。
■水平ライフラインを利用する方法
棟(むね)の両端を軸に水平ライフラインを設置すれば、支点を都度変更せずとも屋根全体に移動することができます。
ツリーケア
ツリーケア(アーボリスト・造園・特殊伐採・林業)での樹幹内作業で使用するワークポジショニングランヤードは、ツリーケア用の製品が販売されています。
ツリーケア用のワークポジショニングランヤードは、ヒッチコードでブレーキングシステムを構築したものや、メカニカルデバイス搭載のものが流通しています。
いずれも不安定な樹上でも片手でランヤード調整がしやすくなっており、メカニカルデバイスのワークポジショニングランヤードは一般的なワークポジショニングランヤードよりも高価です。
※ツリーケア用のワークポジショニングランヤードを一般的なワークポジショニング作業に使用することもできます。