【技術・製品情報】墜落静止用器具とは


厚生労働省リーフレット『安全帯が「墜落制止用器具」に変わります!』より
― 墜落制止用器具について ―
墜落静止用器具とは、厚生労働大臣が定める「墜落制止用器具の規格」に適合した製品を指します。墜落静止用器具には以下のものがあります。
- フルハーネス型安全帯
- 胴ベルト型安全帯
- 第一種ショックアブソーバー
- 第二種ショックアブソーバー
2019年から、労働安全衛生規則により高さ6.75メートル以上の場所で作業を行う場合、フルハーネス型の安全帯の使用が原則義務化されています。従来の胴ベルト型安全帯は、墜落時に身体への負担が大きく、重大な事故につながりやすいため、フルハーネス型の装着が原則となりました。
・作業床の高さ6.75m以上…フルハーネス型墜落静止用器具(原則)
・作業床の高さ6.75m以上で、墜落時に地面に激突するおそれがある場合…胴ベルト型墜落制止用器(部分許可)
・建設作業で高さ5mを超える箇所…フルハーネス型墜落静止用器具(推奨)
・柱上作業で高さ2mを超える箇所…フルハーネス型墜落静止用器具(推奨)
墜落静止用器具には、墜落時の衝撃を緩和するショックアブソーバー(ショックアブソーバー付きランヤード)と組み合わせることが推奨されています。これにより、落下時の衝撃を抑え、作業者の身体にかかる負担を軽減します。
海外メーカー製品の場合、日本国内の検査に通し規格に適合した製品について、国内輸入代理店やメーカーの日本法人にて本体に規格適合を表すタグなどが取り付けられます。
そのため、並行輸入品など正規輸入代理店を経由していない製品は、例え墜落静止用器具適合品と同一の製品であっても、規格適合を表すタグなどが付いていません。そのため、規格適合品としては認められません。
大手ゼネコンの下請けや地方公共団体の入札案件など、作業をするにあたって国内の墜落静止用器具の規格に適合したフルハーネス・ショックアブソーバー付きランヤードの用意を求められる場合には、所有している装備が国内の墜落静止用器具の規格に適合しているか確認いただく必要があります。
― 国内規格に適合していない海外メーカーのハーネスは安全か ―
結論から言えば、『欧州や北米のハーネスの規格に適合しているハーネス』については、『ショックアブソーバーなどの墜落制止装置と組み合わせれば』安全です。
日本の墜落静止用器具(フルハーネス)は2019年規格制定と比較的最近であるのに対し、欧米メーカー・欧米機関は日本よりも遥か以前から高所における作業者の安全性を重視し、テストや規格の制定を行っています。そもそも日本の規格自体、欧米の規格を参考にしておりテスト内容も欧米にかなり準じたものとなっています。
また欧米メーカーのフルハーネスは、ロープアクセス(宙づり作業)を想定したものや電設作業を想定したものなど、特定の作業に使いやすい設計になっているモデルも多くあります。
そのため、社内に高所作業のエキスパートがおり自社内で自己の責任において安全管理が行える企業様などにおいて、国内の規格に適合していないモデルであっても自身の求める機能を有したハーネスをお買い求め頂くケースがあります。
※なお、EUのフルハーネスの規格はEN361、アメリカのフルハーネスの規格はANSI Z359.11です。