【技術・製品情報】モバイルフォールアレスター

―　モバイルフォールアレスター　―

ロープアクセス作業において、万が一作業者が墜落した際に安全に止めるための装置です。

モバイルフォールアレスターはバックアップロープ上に設置し、作業者の動きに合わせてロープ上を移動します。

ローラーについた歯でロープの流れを止めるジャミングローラー式と、ロープを屈曲させてロープの流れを止めるカムロック式に大別されます。

―　分　類　―

■カムロック式

例：「カンプ ゴブリン」「シンギングロック ロッカー」「コング バックアップ」

最も普及している墜落制止方式です。

ユーザーが墜落すると、ユーザーの自重にあわせて器具が傾くとともに、器具の内部でロープが屈曲し、カムがロープを強く挟み込んで墜落を止めます。

器具が傾くことがロープを挟むきっかけになるため、ユーザーが普通にロープ登下降をしている状態では、ユーザーの動きに合わせて器具も追従します。

※作業中に邪魔にならないようロープの特定の位置にとどめておけるロック機構を備えたモデルも多くあります。

様々なメーカーから発売されている製品はいずれも軽量コンパクトで、且つ以下のジャミングローラー式と比較して墜落時にロープに与えるダメージは少なくなります。

■ジャミングローラー式

例：「ペツル アサップ」「ペツル アサップ ロック」

ユーザーが墜落すると、器具の内部にある沢山の返し歯が付いたジャミングローラーがロープに食い込んで墜落を止めます。

ジャミングローラー式はペツル社の「アサップ」によって初めて採用され、その後、器具が邪魔にならないようロープの特定の位置にとどめておけるロック機構を備えた「アサップロック」が発売されました。

「アサップ」「アサップロック」は構造上、不意にユーザーが器具を握ってしまっても、その内部ではロープが早く流れだした途端に歯がロープに食い込むため、安全に墜落を止めることができます。

また「アサップ」についてはカラビナでユーザーのハーネスと直接接続しての運用が可能です。

※アサップロックは構造上ハーネスとの間に必ずショックアブソーバーを挟む必要があります。 

―　安全性　―

万人におススメできるのはジャミングローラー式の「アサップ」「アサップ ロック」になります。

上記の通り、ジャミングローラー式は落下時にユーザーが不意に器具を握ってしまっても安全に墜落を止めることができます。

カムロック式の場合は器具の傾きによって内部のロープが屈曲すると同時にカムがロープを挟む仕組みのため、ユーザーが握ってしまって器具の内部のロープが垂直に近い状態になると、墜落がしばらく止まりません。