【基本装備(欧州)】ロープアクセス

【基本装備(欧州)】ロープアクセス

 

ビルメンテナンス(窓清掃など)やダム点検、橋梁点検など、アプローチの困難な場所での安全な作業を実現するロープアクセス技術。

欧米のロープアクセスは2000年代から徐々に日本の高所作業現場で取り入れられ始め、2010年代にIRATA資格保持者の増加、トレーニングを行う会社の増加に伴い全国的に普及しました。

現在では多くの企業が欧米式のロープアクセス技術を用いて様々な現場で活躍されています。

 

本ページではロープアクセスの欧州の基本装備を紹介します。

※作業によっては更に追加で装備が必要となります。あくまで基本装備となりますことご了承ください。スリングやカラビナは余分にご用意ください。

 

 


基本装備

 

 

■ヘルメット

飛来物や墜落時に作業者の頭部を保護します。

欧州のプロフェッショナル用ヘルメットは基本的にEN397(産業用ヘルメット)とEN12492(マウンテニアリング用ヘルメット)の2種類のうちいずれかの認証を取得しています。

EN397(産業用ヘルメット)とEN1492(マウンテニアリング用ヘルメット)の一番の違いは顎ひも強度で、EN397のヘルメットは顎ひもが障害物に引っかかった際の首吊りを防ぐため15~25kgの力で顎ひもが外れるのに対し、EN12492は簡単に顎ひもが外れてしまわないよう50kg以上の力が必要です。

墜落の危険性を伴うハシゴ登高ではEN12492認証のヘルメットが推奨となります。

 

 

■ハーネス

作業者の身体を保持する個人保護用具です。

ロープアクセスは下降器を接続する腹部アタッチメントが完備された「ワークポジショニング&フォールアレスト兼用ハーネス」またはチェストアッセンダーも付いた「ロープアクセス用ハーネス」を使用します。

チェストアッセンダーがなくても下降器とハンドアッセンダーでロープ登高できますが、この登り方は効率が悪いので、3m以上の登り返しを行う場合にはチェストアッセンダー付きのロープアクセス用ハーネス、もしくは、チェストアッセンダーを後付け可能な「ワークポジショニング&フォールアレスト兼用ハーネス」をお求めください。

「シンギングロック エキスパート 3D スピード」は、チェストアッセンダーが取り付け可能なワークポジショニング&フォールアレスト兼用ハーネスです。

 

 

「カンプ GT ターボ」は胸部にチェストアッセンダー「ターボチェスト」が標準で付属しており、購入状態でロープ登高にも対応します。

 

※長時間の宙吊り作業をされる際はベンチシートを併せてご購入いただくことを推奨します。同じカンプ社のベンチシート「アクセススイング」はカラビナなしでカンプ社のハーネスと接続でき、腹部アタッチメントポイントをすっきりさせておくことができます。

 

 

■ロープ

メインロープ(親綱)、バックアップロープ(ライフライン)で使用します。

欧州の装備ではφ10.5mmからφ11mmのロープが主流で、下降器やモバイルフォールアレスターなども主流のロープ径に合わせて設計されています。

ロープのメーカー規格品は通常50m、100mとキリの良い長さで販売されていますが、「カンプ イリジウム 10.5mm」「カンプ イリジウム 11mm」は仕入先にてご希望の長さに裁断可能です(切り売り、10m単位)。

 

 

 

■モバイルフォールアレスター

ライフラインに接続し、メインロープ上の作業者が万一墜落した際に安全に制止させます。

「ペツル アサップ」「アサップロック」(当店取扱無し)はジャミングローラー式で、必ずショックアブソーバーとの併用しなければなりません。

当店取扱の「カンプ ゴブリン」や「シンギングロック ロッカー」はカムロック式で、器具とロープを直接接続できます。

※ロープとの距離を離したい場合はランヤードやストラップを併用します。

 

 

ディッセンダー下降器

ロープの下降、および宙吊り作業時に作業者を同じ位置に留めておくブレーキとして使用します。

クライミングなどのマウンテニアリングでも使用されるエイト環と、ロープを機械的に挟み込んで自動でブレーキを掛けるメカニカルデバイスがありますが、近年では作業の安全性を重視しメカニカルデバイスを用いるのが主流です。

メカニカルデバイスはブレーキングレバーを操作して下降の速度を調整します。

なお誤って強くレバーを操作し急降下してしまった際に、即座に自動でブレーキがかかるアンチパニック機構(パニック防止機構)を備えたモデルもあり、そちらの方がより安全に作業を行えます。

「カンプ ウィザード」はアンチパニック機構を搭載、またハーネスに下降器を取り付けたままロープセットが可能なモデルでありながら、軽量コンパクトを実現したカンプ社の次世代下降器のスタンダードモデルです。

 

 

■ハンドアッセンダー(登高器)

フットテープと組み合わせて、ロープを登り返す際に使用します。落下防止のためハンドアッセンダーとハーネスはランヤードやスリングなどで接続が必要です。

※1~2m程度の短い登り返しであれば下降器とハンドアッセンダーでも対応できますが、登高の効率が悪いため大きな登り返しが必要な場合はハンドアッセンダーに加えチェストアッセンダー付きフルハーネスを使用されることを推奨します。

 

 

■ポジショニングランヤード

中間支点との接続やハンドアッセンダーとの接続などに使用します。

現場で長さ調整可能なランヤードや、長さ固定のランヤードなどがあります。

 

 

自分でノットを作成して使用するカウズテールは長く利用されているオーソドックスなランヤードです。

 

 

また、U字吊り用に長いランヤードを携行することもあります。鉄塔での宙吊り作業などでは有効なアイテムです。