【技術・道具の基礎】ハーネスサイズの選び方


ハーネスには同じモデルの中にサイズ違いのバリエーションを用意しているものがあります。
サイズA、サイズB、サイズC、いずれか1つに該当する体型であれば苦労せず適切なサイズを選べますが、サイズAとサイズB、サイズBとサイズCといったように、自身の体型が2つのサイズ帯に被っているとサイズ選びに難儀することになります。
対応サイズ表記はメーカーによって異なりますが、海外メーカーの場合は概ね、
・身長
・ウェスト(ベルト)
・レッグ(ループ)
・高さ(肩から股間までの長さ)
の中のいずれかが表記されています。
そして、サイズで悩まれる方の多くは、サイズ表に「身長」「ウェスト」が表示されている
・フォールアレスト・ワークポジショニング兼用ハーネス
・ロープアクセス用ハーネス
を使用される、U字吊り作業や1本吊り作業、ロープ作業を行う方が殆どです。
サイズの選び方
■用途による選定
用途 | おすすめサイズ選択 |
---|---|
長時間の吊り下がり(ロープアクセス) | より身体にフィットする小さめサイズ |
寒冷地作業・防寒着を着る可能性がある | 余裕のある大きめサイズ |
不特定多数の人が着用する | 余裕のある大きめサイズ |
■体型による選定
特徴 | おすすめ |
---|---|
胴体が短く、肩幅が狭い | 小さいサイズの方がフィットしやすい |
足が長く、腰回りががっしりしている | 大きいサイズの方が快適な場合が多い |
筋肉質、厚着をする習慣がある | 大きいサイズの方が調整に余裕がある |
※ロープアクセス作業で冬場に着込んで作業する場合は、余裕のある大きめサイズの方を推奨します。
試着に際して
近くに高所作業専門店の実店舗があり試着が可能な場合は、
①肩ストラップが首に食い込んでいないか
②腰ベルトが腰骨をサポートしているか
③D環(背面・胸部)の位置が正しく、ずれていないか
④体型に合わせた際にストラップを「最大値」「最小値」付近まで調整しないと入らないか
といった部分をご確認ください。
■①ショルダーハーネスが首に食い込んでいないか
ショルダーストラップを絞って体にフィットさせた際、首筋付近が絞れすぎてしまい窮屈になることが稀にあります。
首に食い込むほどになると不快なうえ擦り傷になるなどケガの原因にもなりますので、首周りに余裕があるサイズをお選びください。
■②ウェストパッドが腰骨をサポートしているか
「フォールアレスト・ワークポジショニング兼用ハーネス」や「ロープアクセス用ハーネス」はU字吊りや1本吊り用にD環(アタッチメントポイント)の付いたウェストパッドが完備されています。
このウェストパッドはハーネスに体重を預けながら作業する際に最も重要な部分で、ここが体形に合っていないと長時間の作業で疲労がたまりやすくなったり痛みを感じやすくなったりします。
ウェストパッドは多くのメーカーでサイズごとに若干大きさも異なっており、サイズが大きくなるごとにサポート範囲が広くなります。
身体を横から見た時、胴体の中心からサイドアタッチメントポイントが若干前(お腹)側に来るサイズが適正です。
ハーネスのストラップは長めに設けられているため、対応サイズよりウェストサイズがある方でもハーネスを装着することは可能です。
しかしながら、サイドアタッチメントが胴体の中心より後ろ(背中)側にある場合、U字吊りをする際、特に足を滑らせ落下し腰で吊られる際に、腰が強く締め付けられ苦痛を受けやすくなります。
■③D環(背面・胸部)の位置が正しく、ずれていないか
・胸部アタッチメントポイント … 心臓の上付近に来るのが適切です
・背部アタッチメントポイント … 肩甲骨の間に来るのが適切です
■④体型に合わせた際にストラップを「最大値」「最小値」付近まで調整しないと入らないか
ハーネスは各部のストラップを長さ調整することによって体型に合わせますが、ストラップは通常余裕を持った長さになっており、対応サイズを少し超えた人でも着用すること自体は可能です。
ですが、ストラップの限界値付近まで調整しないと装着できない場合、長時間作業するとどこかの部位が圧迫されたりといった不快感につながります。
最後に
欧米メーカー製のハーネスのサイズ表記は、飽くまで体格の大きい欧米人に合わせたものです。
3サイズあった場合、一番販売が多いのは中間のサイズになりますが、平均身長が170 cmの日本人の多くは、一番小さいサイズが適正であることが多いです。
体重が増減しやすい方や、四季を問わずロープ作業を行うなどは特にハーネスのサイズ選びは難しいと思いますが、上記を参考にご検討いただければ幸いです。